調理師免許試験は難しい?専門学校で学ぶ重要性を改めて認識しよう
意外と落ちる?!調理師免許試験の難易度と近年の合格率
給食調理員になりたい!
飲食店を開業したい!
このような目標のために国家資格である調理師免許を取得したいと考えている人は多いかと思います。
そんな人たちにぜひ知っておいていただきたいのが、調理師試験の難易度!
国家資格だから難易度が高いのでは?
というような声をよく耳にしますが、国家資格とは「国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格」ではあるものの、
国家資格だから難易度が高いわけではありません。
最も難易度の高いといわれる司法書士の令和4年の合格率は4~5%ですが、種類によりその難易度は異なり、
調理師試験の合格率は毎年60~70%前後で推移
しているため、国家試験の中では比較的易しいといえるでしょう。
<令和2年~令和4年の全国平均合格率>
令和2年度 70.2%
令和3年度 65.6%
令和4年度 65.4%
出典:公益社団法人 全国調理師養成施設協会_都道府県別調理師試験合格率
https://www.jatcc.or.jp/upload_files/R05_6-2.pdf
また、調理師試験の方法はマークシート形式の筆記問題のみではありますが、調理師試験の実施は各都道府県で行われ、出題される問題も異なります。そのため、
試験内容の難易度は都道府県により異なり、合格率も以下のように差が生じています。
<令和4年の主な地域の合格率>
北海道 79.8%
宮城県 54.9%
東京都 65.7%
愛知県 62.7%
関西広域連合 76.6%
広島県 59.6%
福岡県 60.0%
出典:厚生労働省_令和4年度調理師試験実施状況
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001104940.pdf
6科目別の正解率6割以上が必須~幅広く深い学修が必要
調理師免許の試験科目は公衆衛生学、食品学、栄養学、食品衛生学、調理理論、食文化概論の6科目。
問題は全60問で、出題形式はマークシートによる四肢択一方式です。四肢択一の問題には、4つのうちから正しいものを1つ選ぶ問題や、4つの中から誤っているものを1つ選ぶ問題があるため、分かりにくい文章に惑わされないように心がける必要があります。
合否判定基準は全科目の合計得点が満点の6割以上であることが条件
となり、また1科目でも平均点を著しく下回る場合は不合格となりますので、
どの科目もまんべんなく幅広く学ぶ必要がある
といえるでしょう。ただし、調理師としての基本的な知識や技術を身につけるために不可欠な内容を扱っている
「食品衛生学」と「調理理論」は配点が高い傾向
にありますので、その2科目は特に深い学修が必要となります。
食品衛生学では食中毒の原因と予防や食品の保存方法、食品衛生に関する法律と規則などが出題され、調理理論では調理方法、食材の扱い方、調理器具の使用方法、調理過程における栄養素の変化など、料理の現場で直面するような具体的なシチュエーションを想定したものが多く出題されます。理論的な知識だけでなく、実際の調理にどう応用するかを考えながら学ぶように心がけるとよいでしょう。
なお、調理師試験の難易度は他の国家試験と比較して低いものの、通信教育講座 ユーキャンの調べによると、独学でも学習時間は3カ月から半年間程度必要となり、1日1~2時間程度勉強に充てている人が多いようです。働きながら調理師免許の取得を目指すならば、平日30分~1時間程度の学習時間を確保していくことが大切です。
【参考サイト】
・令和6年度調理師試験 – 調理技術技能センター
https://chouri-ggc.or.jp/chourishishiken/all_delegation/724
・ユーキャン_調理師免許資格の取得方法は?
https://www.u-can.co.jp/%E8%AA%BF%E7%90%86%E5%B8%AB/column/column02.html
▼公衆衛生から食文化概論まで~多岐に渡る調理師の受験科目を知っておこう
試験免除だけじゃない!調理師専門学校で学ぶメリットと重要性
なお、調理師免許の試験を受験する際には、
・中学校卒業以上の学歴(高等学校の入学資格を有する者)
・2年以上調理業務の従事
といった条件を満たしている必要があり、これらの条件をクリアできなければ受験することはできません。
【関連記事】
調理師免許受験に必要な実務経験とは?調理業務経験を積む重要性
しかし、調理師免許の取得方法はもう一つあり、厚生労働省指定の調理師専門学校などを卒業すると
調理師試験は免除され、卒業と同じタイミングで調理師免許を取得することができます。
これは調理師専門学校などに通う大きなメリットといえますが、専門学校のメリットはそれだけではありません。
1. 体系的な知識の習得
調理師専門学校では、食品衛生学や栄養学、調理理論など、調理に必要な知識を体系的に学べます。仮に、現場で実務経験を積む場合には、日常の業務に追われ、こうした理論的な基礎知識を深く学ぶ機会が限られてしまうことがありますが、学校で学ぶことで、料理の基本から応用までを理論に基づいて習得できるため、より高いレベルでの調理技術が身につきます。
2. 調理技術の実践的なトレーニング
専門学校では、実習を通じて調理技術を実践的に磨くことができます。プロの講師から直接指導を受けることで、包丁さばきや食材の下処理、調味料の使い方など、細かい技術の習得が可能です。また、幅広い料理のジャンルを学べるため、現場におけるメニュー開発や創作料理のアイデアに役立つでしょう。
3.キャリアサポート
専門学校は資格取得だけでなく、卒業後のキャリア支援にも力を入れています。就職活動のサポートや、インターンシップ、企業とのコネクションを通じて、卒業後のキャリアアップを目指すことができます。
4. 創造力を育む環境
現場での実務経験は実践的ではありますが、新しい技術やオリジナルレシピを試す機会は限られます。専門学校では、幅広い料理を学びながら、創造力を伸ばす環境が整っています。さまざまな調理法や食材の組み合わせを試し、オリジナリティあふれる料理を生み出す力を磨けるのは、学校での学びならではのメリットです。
5. プロフェッショナルとしての自信と準備
調理師専門学校では、衛生管理や調理理論、調味料の使い方など、試験に必要な知識だけでなく、プロフェッショナルとしての心構えも学べます。調理師として食品を扱う責任感、チームで働く際のコミュニケーションスキル、そしてお客様に満足してもらうための細やかな気配りなど、現場で即戦力となるための準備が整います。
このように、調理師免許取得を目指す道は二つありますが、専門学校での学びは単に試験免除を得るためだけでなく、プロとしての基礎を固め、将来の幅広いキャリアに繋がる重要なステップです。専門学校に通うためには時間や費用がかかるため容易ではありませんが、実務経験だけでは得られない知識や技術、創造力を養い、調理師としての自信を持って未来に挑むために、調理師専門学校への入学をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。