和食・和菓子における料理人と調理師の違い~調理技術の高さをアピールできるのはどっち?
料理人と調理師の違いとは?~どんな差があって資格も違うのか
料理を作る仕事に携わる人を指す言葉には、「料理人」と「調理師」があります。一見、どちらも同じ職業を表していると思われる人も少なくありませんが、この2つには大きな違いがあります。これは、
料理人と調理師の違いは、調理師免許の有無
であり、料理のジャンルは問われるものではありません。そもそも、
料理人とは料理を作ることを職業とする人
を指し、和食、洋食、中華料理など、特定のジャンルの料理を専門にしていることが多く、食材の選定や調理技術、盛り付けのセンスなど、食に関する総合的なスキルを持っています。
また、料理人には資格があるわけではないために、料理を作る仕事をしている人であれば、誰でも料理人を名乗ることができます。
一方で、
調理師とは国家資格である「調理師免許」を持っている人
を指します。調理師法に基づいて認定される資格となり、取得するためには専門学校などで所定の課程を修了したり、国家試験に合格する必要があります。料理人と同じく食材の選定や調理技術といったスキルはもちろん、食品の衛生管理や栄養学などの幅広い知識を持ち、食品の安全や品質を確保しながら料理を提供することが求められます。
どちらも食のプロフェッショナルであり、日本で活躍している和食料理人やフレンチや中華のシェフなどの多くは調理師免許を取得しているケースが多いものの、料理人は食の美味しさと美しさを追求し続け、調理師は食の安全を提供するといった異なる特性を持っています。
ただし、調理師免許は学校給食などの仕事に就く際に必須だったり、就労ビザを取得するときに重要な書類として提出することができますので、一流の料理人を目指すならば調理師免許を取得しておくことで幅広く活躍することができるでしょう。
和食料理人・和菓子職人になるには?必要な資格を知ろう
さて、日本の食文化である和食や和菓子は今や世界的なブームとなっています。和食はヘルシーな料理としても人気ですが、その魅力には調理法の繊細さと技術の高さもあるものです。たとえば、魚の刺身であれば包丁の使い方次第で味わいが大きく変化しますし、生菓子であれば四季折々の風物詩を表すアートのようなものです。このような高い技術が詰まった和食を作る料理人や和菓子職人になるためには、どのようなステップを踏めばいいのでしょうか。
和食料理人や和菓子職人になるためには、主に次の2つのパターンがあります。
・調理系や製菓系の専門学校などで学ぶ
・飲食店や和菓子店などの現場で修行する
かつての日本では、後者のように飲食店や和菓子店などに弟子入りし、修行をしながら学んでいくことが多かったのですが、近年では専門学校などで食に関する基本的な知識と技術を習得し、卒業とともに調理師免許を取得して、飲食店や和菓子店などに就職することが一般的となっています。
和食料理人を目指す場合には、和食に特化したカリキュラムを提供している学校や和食料理人として成功している卒業生が多く輩出している調理系の専門学校を選ぶとよいでしょう。 また、和菓子職人を目指す場合には製菓系専門学校を選ぶことが一般的ですが、和食料理人が和菓子を作ることもあるため、調理系の専門学校のカリキュラムに含まれていることもあります。そのため、和を極めたいと思っているのならば、製菓系ではなく調理系の専門学校を選ぶのも一つの方法となります。
なお、先ほどお伝えした通り、料理人として働くためには資格は必要ありませんが、和菓子職人も同じです。しかしながら、就職や転職の際にはその知識と技術の証明となるのが資格となりますので、和食料理人、和菓子職人として幅広く活躍するならば、以下の資格取得を目指すとよいでしょう。
■和食料理人に関する資格
調理師免許:調理に関する基本的な知識と技術を証明する国家資格
製菓衛生師免許:お菓子作りの専門的な技術と食品衛生知識を証明する国家資格
ふぐ処理師免許:フグを安全に処理するための技術を証明する民間資格
和食ソムリエ:和食の基本知識や調理方法、文化的背景などを証明する民間資格
和食アドバイザー検定:和食の知識を持ち、和食の提案や指導ができることを証明する民間資格
出汁マイスター:出汁(だし)の取り方や使い方に関する専門的な知識と技術証明する民間資格 など
■和菓子職人に関する資格
製菓衛生師:菓子作りの技術と食品衛生に関する知識を証明する国家資格
菓子製造技能士:菓子作りの専門技術を証明する国家資格
和菓子パティシエ:和菓子に関する歴史や文化、製法などの理解を証明する民間資格
和菓子ソムリエ:和菓子に関する種類や道具などの理解を証明する民間資格
和菓子コーディネーター:和菓子店のマーケティングや出店、経営管理などができる民間資格 など
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より専門的な技術を磨くなら専門調理師・調理技能士を目指そう
なお、和食料理人として上を目指すなら、調理師の上位資格「専門調理師・調理技能士」の資格取得を目指すとよいでしょう。
専門調理師・調理技能士とは、日本の調理業界で高度な調理技術を持つことを証明する国家資格であり、受験資格は調理師免許を取得していることが大前提となり、さらに調理の実務経験があることです。
専門調理師・調理技能士の受験資格
・調理の実務経験年数8年以上で、実務経験年数のうち調理の免許を有している期間が3年以上ある者
・調理師養成施設卒業者で、かつ調理の実務経験年数6年以上で、実務経験年数のうち 調理の免許を有している期間が3年以上ある者
試験内容は学科試験と実技試験があり、実技試験は6つの料理区分から一つ選択して行います。
・すし料理 ・中国料理
・給食用特殊料理
・日本料理
・西洋料理
・麺料理
この資格は、より高度な技術と知識を持つことを証明するものとなるので、資格取得をするかしないかいで、その技術に差があることをアピールでき、料理人としてのキャリアをさらに発展させることにつながるでしょう。
和食や和菓子は、日本の歴史や風土と深く結びついた伝統的な食文化です。時代とともに食文化も変化しつつありますが、和食料理人や和菓子職人を目指すならば、先人が築いてきた伝統的な技術やレシピを次世代に継承し、日本の食文化を守り続けていただきたいものです。